私が大好きな女性、それは映画「ファーストポジション 夢に向かって踊れ」で一躍脚光を浴びたミコ・フォーガティ。完成度の高い踊りに魅了された方も多いのではないでしょうか。
2015年17歳のときに英国のバーミンガム・ロイヤル・バレエ団と契約した彼女ですが、その後は表に出ず「バレエを辞めたのでは」という心配の声もあがりました。
しかし2018年夏、彼女は抱えていた葛藤、そしてバレエから学問へと焦点を移しつつあることを明らかにしました。今日はTedTalk (スピーチ) で本人が語ったことがとても印象的だったので、それを紹介するともに、彼女のその後をまとめていきます。
ミコ・フォーガティのその後
彼女がまず語ったのは、バレエを始めたきっかけ。そして、
- メディアに出て世界から注目を集めるようになったこと
- 体型の変化に戸惑い、心がついていけなかったこと
- バレエ団にはいるも、葛藤をだれにもいえなかったこと
そして現在次のステップへ進み出していることを明らかにしました。ここからはTed talkで語った英語スピーチを翻訳しながらご紹介していきます。
カリフォルニア大学バークレー校で「統合生物学」を専攻
結論をいうと彼女は現在、カリフォルニア大学バークレー校で統合生物学を専攻しています。ただバレエは辞めたわけではなく、レッスンにも通ったり別の向き合い方をしているようです。
Ted talkのスピーチでは「再発見 (Second Act ) 」として自身のキャリアチェンジを語った彼女。何がどうなって、この結論に至ったのか、追ってみていきたいとおもいます。
ミコ・フォーガティがバレエを始めた理由
(幼き日のMiko forgaty)
きっかけは4歳のときに母と見に行ったロシア・マリインスキーのバレエ。美しいアラベスクにポージング、感動した彼女は「バレリーナになりたい」とそれからひたすらレッスンに明け暮れるようになりました。
そして2011年には、ドキュメンタリー映画「ファーストポジション 夢に向かって踊れ」に出演し、一躍世界の人気者に。その技術の高さと可愛らしさ、美しさから世界中から注目されるようにまでなりました。
映画のなかでは、普通の学校を辞めて (勉学の時間を短くして) バレエに人生を捧げる様子が映されています。
コンクールでの活躍で、更に集まる注目と期待
技術の高さはもちろん、美しさに堂々としたステージでの振る舞い、次々とYouTubeにアップされていく美しいコンクール動画に多くの人が魅了されました。
コメント欄には賞賛が集まり「次は彼女は何をするのだろう」といった期待がかかります。その一方で彼女は「徐々にプレッシャーを感じていくようにもなった」と語りました。
別のキャリアを考えるに至るまで
バレエ団入団前後の葛藤
身体は成長しどんどん変わっていく体型、厳しい食事制限ともたたかった苦しい過去もあったそう。その頃から違和感は感じていたといいますが、それでも進み続け、2015年、17歳のときにイギリスのバーミンガム・ロイヤル・バレエ団と契約します。
素晴らしいダンサーが周りにいることを喜ぶ一方で感じる違和感….親しい友人に「君は夢に生きているんだね」と言われたときのこと。「そうね」といったものの、心の奥底では「ちがう!」と叫んでいたといいます。
体型を維持するための、つらい食事制限… 精神的にも肉体的にもこのキャリアに不安を感じていたといいますが、自分と周囲を失望させるのが怖く、見て見ぬ振りをして進み続けたそうです。
キャリアチェンジのきっかけは、2ヶ月の休憩
(https://www.youtube.com/watch?v=4Q-KcrLGncoより引用)
それは日本で少しの間レッスンを受けていたときのこと。クラスの終わりにまさかの足の指を骨折。病院にいくと、彼女へ医師は「2ヶ月の休憩が必要」だと告げられました。彼女はとっさに「わたしはいままで2週間だって休んでことはないのに……..」と思ったといいます。
しかし結果として、これが彼女が今一度「自分のやりたいこと」を考え直すきっかけになったそうです。いままで、お金をかけてくれた両親、育ててくれた先生、皆の期待を裏切りたくなかった。でも本当の気持ちは、自分は一体誰のために、何のためにバレエをしているのか。
本当に自分がやりたいことって、何だろうか
きっかけとなった一冊の本
予想していなかった2ヶ月の休息。しかしそこで彼女は『自分のためではなく、誰かのためにバレエをやっていたこと、そこにもはや自分の情熱がないこと』に気付いたといいます。じゃあ何がしたいのか、そのときに思い出したのが12歳のときに読んだ「The Healty Dancer」という本でした。
- 人間の身体はどう成り立っているのか
- 怪我がどう治っていくのか
- どうしたら、怪我を防ぐことができるのか
そういったことを学ぶことで、自分も「人の人生」を助けることができるのではないか、叶うのならば「自分もだれかの旅の一部になりたい」と思うようになったそうです。
バレエに対するいまの思い
バレエ団を去るとき「バレエがもう二度と自分の人生の一部にならないのでは」と恐れもあったそうですが、『いま、まったく後悔はしていない』そうです。それは辞めてからも、自分の人生に好きなだけバレエを取り入れられることがわかったからだとか。
次世代のバレエダンサーを教える、あちこちで授業を受ける、できることはいっぱいにあると。「バレエは知恵や知識、一生懸命にやること、規律 (自分をおさえること)、多くのことを教えてくれた、それがいつも自分のなかにあることを誇りに思っている」と、そう語る彼女はとても晴れ晴れとした表情をしていました。
あとがきにかえて
個人的には『恐れとワクワクする気持ち組み合わせが、自分のベストを出すことに繋がるんです。だから緊張は楽しいものではないけれど、良いものだと思っています』と語る彼女が印象的でした。たくさんのコンクールに出場した彼女の言葉には何にもかえがたい力があります。
彼女のコンクール動画はいまはたくさんの人に視聴されており、彼女の新たな船出を知らせるTedTalkも多くの人に勇気を与えるものです。
自分を磨き続け、突き詰め続ける彼女の姿勢に励まされるひとも多いのではないでしょうか。自身もそのひとりです。この記事が誰かの道をまた照らすことがあれば幸いでございます。(ちなみに彼女のスピーチ全文はこちら【ミコ・フォーガティTED全文翻訳】なぜバレエからキャリア転換したのかです)